【医師が解説】NIPTでは何がわかるの?

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2025.11.25

胎児DNA鑑定

【医師が解説】NIPTでは何がわかるの?

リライティング日 : 2026年 03月 20日

【医師が解説】NIPTで何がわかるの?|染色体異常・ダウン症・性染色体異常など検査範囲と精度を徹底解説

【要約】
NIPT(新型出生前検査)は母体の血液から胎児の染色体異常を調べる検査です。ダウン症など主要なトリソミーを99%以上の精度で検出できますが、確定診断ではなく、すべての遺伝病を調べられるわけではありません。本記事では検査内容・精度・限界を医師が詳しく解説します。

目次

妊娠がわかると、多くの人が「赤ちゃんは元気に育つかな?」「遺伝の病気は大丈夫?」と不安になります。そんなときに注目されるのが NIPT(新型出生前検査) です。

NIPTは、母親の血液から赤ちゃんの染色体の状態を詳しく調べられる、新しいタイプの出生前検査です。

染色体とは?

人間の体の細胞には、遺伝情報(DNA)が"染色体"という束になって納められています。
本数は 46本(23対) が普通で、この数が増えたり減ったりすると病気が起こることがあります。

◆ NIPTってどんな検査?

NIPTってどんな検査?
NIPTは、母親の血液中にわずかに含まれる 胎児由来DNA(cell-free fetal DNA:cffDNA) を読み取り、その量のバランスから染色体の数に異常がないかを調べます。

NIPTの特徴

  • 採血だけでできる(お腹に針を刺さない)
  • 妊娠 10週から 受けられる
  • 妊婦・胎児ともに安全性が高い
  • 結果は1〜2週間程度でわかる
  • 主に「染色体の数の異常」を調べる

◆ NIPTで調べられる主な異常

NIPTで調べられる主な異常

(1)常染色体トリソミー(代表的な3つ)

異常 病名 発生頻度 NIPTの精度
21トリソミー ダウン症候群 約1/700〜1/1,000出生 感度 >99%、特異度 >99%
18トリソミー エドワーズ症候群 約1/5,000出生 感度 >95%、特異度 >99%
13トリソミー パトウ症候群 約1/16,000出生 感度 >95%、特異度 >99%

もっとも精度が高く調べられる項目です。
次の3つはNIPTで世界的に最も信頼されているターゲットです (1)(2)。

※感度=陽性の見逃しにくさ
※特異度=陰性を正しく判断する能力

(2)性染色体の数の異常

性別を決める染色体(XとY)の本数のズレを調べます。

例:

  • 45,X(ターナー症候群)
  • 47,XXY(クラインフェルター症候群)
  • 47,XXX(トリプルX症候群)
  • 47,XYY(XYY症候群)
    ただし、性染色体異常の検出精度はトリソミーよりやや低めで、特に 45, X(ターナー症候群)は偽陽性が多い ことが報告されています (3)。

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(3)微細欠失症候群(施設によって選択)

染色体の一部分が抜け落ちてしまうことによる病気です。

例:

  • 22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)
  • 1p36欠失症候群
  • 5p欠失症候群(猫鳴き症候群)

ただし、この領域は検査が難しく、 感度・特異度ともにトリソミーより低い とされています (4)。

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◆ NIPTで"わからないこと"

NIPTでわからないこと

NIPTはとても優れていますが、万能ではありません。

(1)確定診断にはならない

NIPTは スクリーニング検査 ="ふるい分け"です。
陽性でも 胎児に異常があるとは限りません。
胎盤だけが異常で、胎児は正常というケース(胎盤モザイク)もあります。

陽性なら必ず羊水検査などで確認が必要。

(2)すべての遺伝の病気を調べられるわけではない

NIPTが苦手なのは:

  • 染色体の構造異常(転座など)
  • 単一遺伝子疾患(血友病など)
  • 超音波で見つかる形態異常(心臓奇形など)

(3)母体側の条件で精度が下がることがある

胎児DNAが十分に入っていないと誤判定のリスクが上がります。
次の状況では注意が必要です:

  • 母体の肥満傾向
  • 双子などの多胎妊娠
  • 妊娠週数が早すぎる
  • 胎盤の状態が不安定

◆ NIPTのメリット・デメリット(まとめ表)

項目 メリット 注意点
安全性 母親の採血だけでOK 妊娠10週以降で採血
精度 トリソミー(21,18,13)は非常に高精度 性染色体・微細欠失は精度が低め
検査範囲 主な数的異常がわかる すべての遺伝病は検出できない
結果の意味 早く情報を得られる 陽性=確定ではない(要羊水検査)

◆ 検査を受けるときの考え方

検査を受けるときの考え方

NIPTを受けるかどうかは、次の点を家族と話し合うのが大切です。

  • 検査を受ける目的は?
  • 陽性だった場合、どう対応する?
  • 自分が知りたい情報の範囲は?

不安がある場合は、医師や遺伝カウンセラーに相談することで、冷静に判断できます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTはいつから受けられますか?

A. 妊娠10週以降から受けられます。胎児由来DNAが十分に検出可能になる時期が10週前後のためです。

Q2. NIPTで赤ちゃんに危険はありませんか?

A. NIPTは母親の腕からの採血のみで行うため、流産リスクはなく、母体・胎児ともに非常に安全です。

Q3. NIPTが陽性だった場合はどうすればよいですか?

A. NIPTはスクリーニング検査のため、陽性結果が出た場合は羊水検査などの確定検査を受ける必要があります。

Q4. NIPTでダウン症以外もわかりますか?

A. ダウン症(21トリソミー)に加え、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)、性染色体異常、微細欠失症候群なども検査可能です。

Q5. NIPTで性別はわかりますか?

A. 性染色体(X・Y)を解析するため、胎児の性別判定も可能です。

妊娠中の親子DNA鑑定に関する不安や疑問、親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、遺伝子検査の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。


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参考文献

(1) Accuracy of non-invasive prenatal testing using cell-free DNA
for detection of Down, Edwards and Patau syndromes『British Medical Journal Open、2016年1月』

(2) Non-invasive prenatal testing for trisomies 21, 18 and 13:
clinical experience from 146,958 pregnancies『Ultrasound in Obstetrics & Gynecology、2015年』

(3) Sex chromosome aneuploidies and noninvasive prenatal testing
『American Journal of Medical Genetics、2023年』

(4) Performance of non-invasive prenatal testing for microdeletion
and microduplication syndromes『Scientific Reports、2022年』

著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)

医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか

2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。