【専門家が解説】なぜ、赤ちゃんが生まれてからの親子鑑定のほうが安いの?

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2025.12.29

胎児DNA鑑定

親子DNA鑑定

【専門家が解説】なぜ、赤ちゃんが生まれてからの親子鑑定のほうが安いの?

リライティング日 : 2026年 04月 03日

【専門家が解説】なぜ、赤ちゃんが生まれてからの親子鑑定のほうが安いの?|STRとSNP解析の違いから読み解く費用差の理由

【要約】
出生後のDNA親子鑑定は約25,000円前後、出生前の胎児DNA親子鑑定は10万〜25万円程度が相場です。この費用差はSTR解析とSNP・cfDNA解析という検査原理の違いに由来します。本記事では技術的背景を専門家がわかりやすく解説します。

目次

親子鑑定は、実施するタイミングによって検査費用に大きな差があります。

一般的に、生まれた後に行うDNA親子鑑定は約25,000円前後で検査できるのに対し、出生前に行う胎児DNA親子鑑定では100,000〜250,000円程度が相場とされています。

この価格差は、検査機関ごとの設定差ではなく、検査の原理そのものの違いに由来します。

seeDNA遺伝医療研究所では、費用の違いを正しく理解していただくために、検査の仕組みと技術背景を丁寧に説明することを重視しています。

◆ 親子鑑定はどのように行われるのか

親子鑑定はどのように行われるのか
親子鑑定は、「子どもは両親それぞれからDNAを半分ずつ受け継ぐ」という遺伝の基本法則に基づいています。
検査では、子どものDNA型と親のDNA型に遺伝的に矛盾しないかを、統計学的に評価します。
このとき重要なのは、どのDNA領域(マーカー)を比較対象とするかという点です。
出生後鑑定と出生前鑑定では、このマーカーの選択と解析設計が大きく異なります。

◆ 生まれた後の親子鑑定:STRを用いた確立技術

生まれた後の親子鑑定:STRを用いた確立技術

出生後の親子鑑定では、口腔粘膜や血液などから、子ども本人のDNAを直接採取できます。DNA量が十分で品質も安定しているため、解析は比較的シンプルです。

この検査で主に用いられるのが、「STR(Short Tandem Repeat:短鎖反復配列)」です。

STRは、短いDNA配列が何回繰り返されているかという「回数の違い」に個人差がある領域で、以下のような特徴を持ちます。

  • 親から子へ規則的に遺伝する
  • 個人識別能力が非常に高い
  • 少数の遺伝子座でも高精度な判定が可能

このため、STR解析は法医学分野で数十年にわたり使用されており、親子鑑定においても16~24座位程度の解析で十分な判定精度が得られます(1)。

技術が成熟しており、解析工程が標準化・自動化されていることも、出生後鑑定が比較的低コストで提供できる理由の一つです。

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◆ 出生前の親子鑑定:SNPとcfDNA解析の必要性

出生前の親子鑑定:SNPとcfDNA解析の必要性

一方、出生前の胎児DNA鑑定では状況が大きく異なります。

胎児のDNAは、母体の血液中に「cfDNA(cell-free DNA)」としてごく微量に存在しており、母体DNAと混在した状態で解析しなければなりません。

このような条件下では、STRのような少数マーカーでは情報量が不足するため、「SNP(Single Nucleotide Polymorphism)」と呼ばれる1塩基差のDNAマーカーを、数百か所同時に解析する手法が用いられます(2)。

SNP解析は、もともとNIPT(新型出生前検査)の分野で発展してきた技術であり、大量のデータを統計的に統合して結論を導く必要があります(3)。

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◆ STRとSNPの違い(まとめ)

項目 STR SNP
DNAの違い 繰り返し回数の差 1塩基の差
使用マーカー数 16~24座位程度 数百~数千
主な用途 出生後の親子鑑定、法医学 出生前鑑定、NIPT
解析難易度 比較的低い 非常に高い
コストへの影響 低コスト 高コスト

◆ なぜ費用差が生じるのか

なぜ費用差が生じるのか

出生前鑑定では、

  • 胎児DNA量が極めて少ない
  • 母体DNAとの混在を考慮する必要がある
  • 高度な統計解析と厳格な品質管理が不可欠

といった要因が重なります。

その結果、検査設備・解析工程・専門人材のいずれも高度化し、出生後鑑定と比べて費用が高く設定されるのです。

◆ まとめ

まとめ
生まれた後の親子鑑定が比較的安価に受けられるのは、STRを用いた確立済みの技術で、解析対象が明確だからです。
一方、出生前の胎児DNA鑑定は、SNPとcfDNA解析を用いた高度な医療レベルの検査であり、その技術的背景が費用に反映されています。
seeDNA遺伝医療研究所では、検査結果だけでなく、その裏にある仕組みや限界についても正しく理解していただくことを大切にしています。
 
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よくある質問(FAQ)

Q1. 出生後と出生前の親子鑑定では、なぜ費用に差があるのですか?

費用差は検査機関ごとの設定差ではなく、検査の原理そのものの違いに由来します。出生後はSTR解析による確立済みの技術で約25,000円前後、出生前はSNPとcfDNA解析を用いた高度な技術が必要なため100,000〜250,000円程度となります。

Q2. STR解析とは何ですか?

STR(Short Tandem Repeat:短鎖反復配列)は、短いDNA配列が何回繰り返されているかという「回数の違い」に個人差がある領域です。親から子へ規則的に遺伝し、個人識別能力が非常に高く、16~24座位程度の解析で高精度な親子判定が可能です。法医学分野で数十年にわたり使用されている確立技術です。

Q3. 出生前の胎児DNA鑑定でSNPを使うのはなぜですか?

胎児のDNAは母体血液中にcfDNA(cell-free DNA)としてごく微量に存在し、母体DNAと混在しています。この条件下ではSTRのような少数マーカーでは情報量が不足するため、1塩基差のDNAマーカーであるSNP(Single Nucleotide Polymorphism)を数百か所同時に解析する手法が用いられます。

Q4. 出生前鑑定の費用が高くなる具体的な理由は何ですか?

出生前鑑定では、胎児DNA量が極めて少ない、母体DNAとの混在を考慮する必要がある、高度な統計解析と厳格な品質管理が不可欠といった要因が重なります。その結果、検査設備・解析工程・専門人材のいずれも高度化し、出生後鑑定と比べて費用が高く設定されます。

参考文献

(1) Short Tandem Repeat (STR) Analysis(Cold Spring Harbor Protocols, 2011年12月)

(2) Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum
(The Lancet, 1997年8月)

(3) DNA Sequencing versus Standard Prenatal Aneuploidy Screening
(New England Journal of Medicine, 2014年2月)

(4) seeDNA遺伝医療研究所 公式サイト

監修者

農学博士/研究員:L. J.

東京農工大学大学院で博士号取得後、東京大学にて研究員として勤務。現在は生体情報科学を専門とし、seeDNAにてデータ解析や遺伝子検査の解析技術開発に携わっている。
seeDNA遺伝医療研究所医学博士