【医師が監修】新型出生前診断「NIPT」でわかるトリソミーとは?

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2026.01.05

胎児DNA鑑定

【医師が監修】新型出生前診断「NIPT」でわかるトリソミーとは?

【医師が監修】新型出生前診断「NIPT」でわかるトリソミーとは?

新型出生前検査(NIPT)について調べ始めると、必ず目にするのが「トリソミー」という言葉です。
「染色体が多い?」「それは病気なの?」「検査で何がどこまでわかるの?」——こうした疑問を抱く方は決して少なくありません。

NIPTは非常に精度の高い検査である一方、正しい知識がないまま結果を受け取ると、必要以上に不安を感じてしまうこともあります。
本記事では、国内外の医学的エビデンスに基づき、トリソミーとは何か、NIPTで何がわかるのかを、できるだけ平易な言葉で整理します。

 

◆ トリソミーとはどのような状態か


染色体の基本構造

私たちの身体を構成する細胞には、通常46本の染色体が存在します。
これらは23対に分かれ、22対が常染色体、残り1対が性染色体(XXまたはXY)です。染色体には、発育や体質を決定する遺伝情報が収められています。

「1本多い」ことの意味

トリソミーとは、本来2本であるはずの染色体が3本存在する状態を指します。
その結果、染色体総数は46本ではなく47本となります。
多くの場合、これは卵子や精子が形成される過程(減数分裂)で、染色体が正しく分配されなかったことが原因です。
このような分配エラーは母体年齢と関連があり、年齢が高くなるにつれて発生頻度が上昇することが知られています[1]。
 

◆ 出生に至るトリソミーは限られている

理論上、どの染色体でもトリソミーは起こり得ます。しかし実際には、ほとんどのトリソミーは妊娠初期に自然流産となります。

出生まで至るケースはごく一部に限られており、主に以下の染色体が知られています。

  • 21番染色体
  • 18番染色体
  • 13番染色体
  • 性染色体(X・Y)

これらは比較的小さく、遺伝子数が少ないため、他の染色体に比べて生命維持への影響が相対的に小さいと考えられています。

 

 NIPTで主に対象となる3つのトリソミー


NIPTでは、臨床的意義が大きく、発生頻度の高い3つの常染色体トリソミーを主な検出対象としています。

トリソミーの種類

主な特徴

出生頻度の目安

21トリソミー(ダウン症候群)

知的発達の遅れ、心疾患など。個人差が大きい

約1/700[2]

18トリソミー(エドワーズ症候群)

重篤な多臓器異常を伴うことが多い

約1/6000[3]

13トリソミー(パトウ症候群)

脳・心臓の重い形成異常

約1/10000[4]

21トリソミーでは、医療や社会支援の進歩により、現在では長期にわたり地域で生活する方も増えています[2]。

一方、18トリソミーや13トリソミーは予後が厳しく、出生後早期に亡くなるケースが多いことも事実です[3][4]。

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◆ 性染色体トリソミーについて



NIPTでは、XXX、XXY、XYYなどの性染色体トリソミーが検出される場合もあります。
これらは常染色体トリソミーと比べ、身体的・知的影響が軽度なことが多く、診断されないまま成人する例も珍しくありません。

 

NIPTの精度と、その限界


検出精度の実際

大規模研究を統合した解析によると、NIPTの検出精度は以下のように報告されています[5]。

  • 21トリソミー:感度99%以上、特異度99.9%以上
  • 18トリソミー:感度約97.9%、特異度99%以上
  • 13トリソミー:高精度だが研究間差がやや大きい

NIPTは、現代の出生前検査の中でも極めて精度の高いスクリーニング検査と位置づけられています。

確定診断ではないという前提

重要なのは、NIPTは確定診断ではないという点です。

陽性結果が出た場合には、羊水検査や絨毛検査といった、胎児の細胞を直接調べる検査による確認が必要となります。

検査の限界

NIPTには以下のような制約もあります。

  • 一部のモザイク型染色体異常は検出困難
  • 均衡型転座は検出不可
  • 双胎妊娠や母体肥満で精度が低下する可能性
  • 胎盤モザイクによる偽陽性・偽陰性[6]

検査結果は、必ず専門医による説明とカウンセリングを通じて理解することが重要です。

正しい理解が、納得できる選択につながる


トリソミーは決して珍しい概念ではありませんが、その内容や影響は一様ではありません。

NIPTは有用な情報を提供する検査である一方、結果の意味をどう受け止めるかは、ご家族ごとに異なります。

seeDNA遺伝医療研究所では、こうした医学的エビデンスに基づく正確な情報提供を重視し、検査結果を「判断材料の一つ」として冷静に理解できる環境づくりを大切にしています。

不安を煽るのではなく、知ることで選択肢を広げる。

それが、NIPTを考えるうえで最も重要な姿勢と言えるでしょう。

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参考文献

[1]Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica, 2023 Nov.

[2]MSDマニュアル ダウン症候群

[3]MSDマニュアル 18トリソミー

[4]MSDマニュアル 13トリソミー

[5]BMJ Open, 2016 Jan.

[6]Prenatal Diagnosis, 2019 Dec.

 

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著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)

医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか

2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。