リライティング日 : 2026年 05月 05日
【要約】
NIPTで陰性(低リスク)と判定された場合、ダウン症候群の陰性的中率は99.8%以上と非常に高い信頼性を持ちます。ただし検出できない疾患や稀な偽陰性が存在し、確定診断ではない点を医師監修で解説します。
目次
- 1. NIPTとは何か?検査の仕組みと検出対象
- 2. NIPTの「陰性(低リスク)」とはどういう意味か?
- 3. 「低リスク」でも完全に安心できない2つの理由
- 4. NIPTと確定診断検査の違い:比較表
- 5. NIPTの陰性結果をどう受け止めればよいか:3ステップ
- 6. まとめ:NIPTの陰性結果が示すこと・示さないこと
- 7. FAQ
- 参考文献
- 監修者情報
【医師が監修】NIPTの陰性結果は安心できる?意味・限界・確定診断を解説
結論:NIPTで陰性(低リスク)が出た場合、主要な染色体異常のリスクは統計的に非常に低い。ダウン症候群に対する陰性的中率は99.8%以上と報告されている(1)。ただし、NIPTはスクリーニング検査であり、検出できない疾患が存在する点を理解する必要がある。
1.NIPTとは何か?検査の仕組みと検出対象

| 染色体異常 | 疾患名 | NIPTの感度(参考値) |
|---|---|---|
| 21トリソミー | ダウン症候群 | 99%前後(1) |
| 18トリソミー | エドワーズ症候群 | 98%前後(3) |
| 13トリソミー | パトウ症候群 | 99%前後(3) |
実施施設によっては、性染色体異常(ターナー症候群・クラインフェルター症候群など)や微小欠失症候群(22q11.2欠失症候群など)を追加で検査できる場合がある(2)。
2.NIPTの「陰性(低リスク)」とはどういう意味か?

- 感度(21トリソミー):99.17%
- 特異度(21トリソミー):99.95%
- 陰性的中率:99.8%以上(1)
3.「低リスク」でも完全に安心できない2つの理由
理由①:NIPTが検出できない疾患がある
- 染色体構造異常の一部(転座・逆位など)
- 単一遺伝子疾患(フェニルケトン尿症・嚢胞性線維症など)
- 多くの先天奇形・神経発達症(自閉スペクトラム症・知的障害など)
理由②:まれに偽陰性が生じる可能性がある
| 偽陰性の原因 | 内容 |
|---|---|
| 限局性胎盤モザイク(CPM) | 胎盤のみに染色体異常が存在し、胎児には異常がない状態 |
| 母体コピー数多型 | 母体自身の遺伝子変化がcffDNA解析に影響する |
| 消失双胎 | 一方の胎児が妊娠初期に消失し、そのDNAが結果に影響する |
| 母体悪性腫瘍 | がん細胞由来DNAが解析結果に混入する |
| 真の胎児モザイク | 胎児の一部の細胞のみが異常な染色体を持つ状態 |
4.NIPTと確定診断検査の違い:比較表
| 比較項目 | NIPT | 羊水穿刺 | 絨毛検査(CVS) |
|---|---|---|---|
| 検査の種類 | スクリーニング | 確定診断 | 確定診断 |
| 実施時期 | 妊娠10週以降 | 妊娠16週以降 | 妊娠11〜13週 |
| 侵襲性 | なし(採血のみ) | あり(針を刺す) | あり(針を刺す) |
| 流産リスク | なし | 約0.11〜0.30% | 約0.20〜0.22% |
| 染色体診断精度 | 高い(スクリーニング) | 非常に高い(確定) | 非常に高い(確定) |
| 検出できる疾患 | 主に数的異常 | 染色体全般 | 染色体全般 |
5.NIPTの陰性結果をどう受け止めればよいか:3ステップ

- Step 1:結果の意味を正確に理解する 低リスクとは「主要な染色体異常の可能性が統計的に非常に低い」ことを示す。確定診断ではない。
- Step 2:定期健診・超音波検査を継続する 染色体異常以外の先天的な形態異常は超音波検査で発見される場合がある。定期的な妊婦健診を継続する。
- Step 3:不安がある場合は専門家に相談する 染色体異常の有無を確実に確認したい場合は、産婦人科医または遺伝カウンセラーに相談し、羊水検査・絨毛検査の適応を検討する。
6.まとめ:NIPTの陰性結果が示すこと・示さないこと
| 項目 | NIPTで「わかること」 | NIPTで「わからないこと」 |
|---|---|---|
| ダウン症候群リスク | 感度99%・陰性的中率99.8%以上で評価 | 100%の除外はできない |
| 18・13トリソミーリスク | 高精度で評価 | 稀な偽陰性あり |
| 染色体構造異常 | 一部のみ | 転座・逆位などは原則検出不可 |
| 単一遺伝子疾患 | 対象外 | 検出不可 |
| 先天奇形・形態異常 | 対象外 | 超音波検査で評価が必要 |
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※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断や判断は医療機関でご相談ください。
7.FAQ
Q1. NIPTで陰性が出れば、ダウン症候群は心配しなくてよいですか?
Q2. NIPTが検出できない疾患にはどんなものがありますか?
Q3. NIPTで偽陰性が起きる原因は何ですか?
Q4. NIPTの陰性結果後に羊水検査を受ける必要はありますか?
Q5. NIPTはいつから受けられますか?また、対象となる条件はありますか?
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参考文献
(2) 新型出生前検査(NIPT)について(seeDNA遺伝医療研究所, 2023年)
(5) Discordant non-invasive prenatal testing (NIPT) – a systematic review
(Prenatal Diagnosis, 2017年6月)
監修者
医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。
