【専門家が解説】DNA鑑定に採血は必要か?出生前・出生後の検体と精度を解説

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2026.05.21

胎児DNA鑑定

親子DNA鑑定

【専門家が解説】DNA鑑定に採血は必要か?出生前・出生後の検体と精度を解説

【専門家が解説】DNA鑑定に採血は必要か?出生前・出生後の検体と精度を解説

 

この記事の結論

DNA鑑定に採血が必要かどうかは、鑑定のタイミングによって完全に決まります。

  • 出生後の親子DNA鑑定:綿棒で口腔粘膜を採取するだけで完結。採血は不要
  • 出生前(妊娠中)の親子DNA鑑定(母):母体血中の胎児DNAを解析するため採血が必須
  • 出生前(妊娠中)の親子DNA鑑定(父):口腔粘膜(綿棒)のみで対応可能。採血は不要

1. 結論:採血の要否は「出生前か出生後か」で決まる

採血

DNA鑑定で採血が必要になるかどうかは、その鑑定が「出生前」か「出生後」かという1点で決まります。出生後であれば子・父・母すべて綿棒(口腔粘膜採取)で完結し、医療機関への来院も不要です。一方、妊娠中の親子DNA鑑定では、母体血中に流れ出ている胎児由来のDNAを解析する必要があるため、お母さんのみ医療機関での採血が必須となります。

2. 出生後DNA鑑定はなぜ採血が不要なのか?

口腔上皮

口腔粘膜とは何か

口腔粘膜(こうくうねんまく)とは:頬の内側にある細胞層のことです。専用の綿棒で頬の内側を10〜20回こするだけで採取でき、採血と同等のDNA情報が得られます(1)。

血液と口腔粘膜のDNAが同じ理由

人体のほぼすべての細胞には同一のDNA配列が格納されています。血液中の白血球と頬の粘膜細胞のDNA情報は完全に一致します。採血をしなくても、親子関係の判定に必要なすべての遺伝情報が取得できます。

精度への影響はゼロ

seeDNA遺伝医療研究所では、口腔粘膜による採取でも血液と同等の解析を実施し、父権肯定確率99.99%以上の精度を担保しています(2)。新生児から高齢者まで、痛みなく安全に検体採取が行えます。

3. 出生前DNA鑑定はなぜ採血が必要なのか?

妊婦の採血

母体血中の胎児DNA(cfDNA)とは何か

cfDNA(cell-free fetal DNA)とは:妊娠中に胎盤から母体の血液中に流れ出る胎児由来のDNA断片のことです。1997年、デニス・ロー博士らが母体血漿へのcfDNA存在を世界で初めて証明し(3)、現在のNIPT(新型出生前診断)と出生前親子DNA鑑定の科学的基盤となっています。

cfDNAの量と妊娠週数の関係

母体血中の胎児DNA濃度は妊娠の進行とともに増加します。妊娠6週以降から検出可能な量が蓄積されることが研究で示されており(3)、seeDNA遺伝医療研究所では妊娠6週以降から採血による検査を実施しています(2)。

従来の羊水検査との違い

従来、妊娠中に胎児のDNAを調べるには、子宮に細い針を刺して羊水を採取する羊水検査が主流でした。しかしこの方法は流産リスクを伴う侵襲的手技です。

公益社団法人日本産科婦人科学会(JSOG)の指針によると、羊水検査による流産リスクは約300分の1とされています(1)。一方、母体血採血による出生前DNA鑑定は赤ちゃんにも母体にも直接のリスクがありません。

採血は必ず医療機関で行う

採血は医療行為であり、自己採血は認められていません。seeDNA遺伝医療研究所は全国47都道府県300か所以上の提携医療機関で採血が受けられる体制を整えています(2)。

4. 鑑定の種類・検体・採血の有無 比較テーブル

鑑定種別ごとに、必要な検体・採取方法・採血の有無を整理しました。

鑑定の種類 対象者 使用検体 採取方法 採血 検査開始時期
出生後 親子DNA鑑定 子・父・母 口腔粘膜 専用綿棒で頬の内側を擦る 不要 出生後すぐから
出生前 親子DNA鑑定(母) 妊娠中の母 静脈血(母体血) 医療機関での採血 必要 妊娠6週以降
出生前 親子DNA鑑定(父) 擬父(父と思われる男性) 口腔粘膜 専用綿棒で頬の内側を擦る 不要
血縁・親族DNA鑑定 全対象者 口腔粘膜 専用綿棒で頬の内側を擦る 不要 出生後すぐから
特殊検体DNA鑑定 全対象者 毛髪・歯ブラシ・爪など 乾燥保存して提出 不要

重要ポイント:採血が必要なのは「妊娠中のお母さん1名のみ」です。父親(擬父)は妊娠中であっても口腔粘膜(綿棒)のみで検査が完結します。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 口腔粘膜(綿棒)と血液のDNA鑑定では、精度に差がありますか?

差はありません。人体のすべての細胞には同一のDNAが格納されているため、口腔粘膜でも血液でも得られる遺伝情報は同じです。seeDNA遺伝医療研究所では口腔粘膜採取でも父権肯定確率99.99%以上の精度を保証しています(2)。

Q2. 出生前DNA鑑定の採血は、いつ・どこで受けられますか?

妊娠6週以降であれば採血が可能です。採血は全国300か所以上seeDNA提携医療機関で受けられます。自己採血は医療行為にあたるため認められていません(2)。

Q3. 日本産科婦人科学会は、母体血を使った出生前検査についてどのような立場ですか?

JSOG(日本産科婦人科学会)は、母体血を用いたNIPTに関する指針を制定し、侵襲を伴わない点で評価しつつも、実施施設の認定・遺伝カウンセリングの徹底を義務付けています(1)。出生前DNA親子鑑定も同様に専門機関での実施が推奨されます。

Q4. 歯ブラシや毛髪でも同じ精度で鑑定できますか?

検体の中にDNAが残っていれば、種類にかかわらず鑑定精度は変わりません。ただし、口腔粘膜に比べてDNA採取に失敗する可能性があり、「特殊検体」として扱われます(2)。

Q5. 母体血による出生前DNA鑑定と羊水検査は何が違いますか?

羊水検査は子宮に針を刺す侵襲的手技であり、約300分の1の流産リスクを伴います(1)。一方、母体血による出生前DNA鑑定は採血のみで完結し、赤ちゃんへの直接的なリスクはゼロです(2)。

参考文献

(1) 公益社団法人 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」 令和2年(2020年)5月改訂

(2) seeDNA遺伝医療研究所「妊娠中の親子DNA鑑定(出生前DNA親子鑑定)」

(3) Lo YM, Corbetta N, Chamberlain PF, et al. "Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum." The Lancet, 1997年8月, Vol.350(9076), pp.485–487.

本記事は公益社団法人日本産科婦人科学会の公開指針、及び査読付き国際学術誌(The Lancet)の論文をもとに作成しています。医療的な判断については必ず専門の医療機関にご相談ください。

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著者

医学博士/遺伝子解析担当:A.M.

2015年東京医科歯科大学大学院 医学博士課程を修了後、同大学整形外科にて特任研究員および研究補佐員として勤務。2018年より株式会社seeDNAに入社後、STR鑑定5,000件以上、NIPPT鑑定約4,000件以上の検査やデータ解析、研究開発などを担当。正確性と品質管理を徹底することで、鑑定ミス「0」を継続中。これまで培った研究経験と分析力を活かし、お客様に安心と信頼をお届けできるよう、品質向上に日々取り組んでいます。

著者a.m