【専門家が解説】DNA鑑定に採血は必要か?出生前・出生後の検体と精度を解説
この記事の結論
DNA鑑定に採血が必要かどうかは、鑑定のタイミングによって完全に決まります。
- 出生後の親子DNA鑑定:綿棒で口腔粘膜を採取するだけで完結。採血は不要
- 出生前(妊娠中)の親子DNA鑑定(母):母体血中の胎児DNAを解析するため採血が必須
- 出生前(妊娠中)の親子DNA鑑定(父):口腔粘膜(綿棒)のみで対応可能。採血は不要
目次
1. 結論:採血の要否は「出生前か出生後か」で決まる

DNA鑑定で採血が必要になるかどうかは、その鑑定が「出生前」か「出生後」かという1点で決まります。出生後であれば子・父・母すべて綿棒(口腔粘膜採取)で完結し、医療機関への来院も不要です。一方、妊娠中の親子DNA鑑定では、母体血中に流れ出ている胎児由来のDNAを解析する必要があるため、お母さんのみ医療機関での採血が必須となります。
2. 出生後DNA鑑定はなぜ採血が不要なのか?

口腔粘膜とは何か
口腔粘膜(こうくうねんまく)とは:頬の内側にある細胞層のことです。専用の綿棒で頬の内側を10〜20回こするだけで採取でき、採血と同等のDNA情報が得られます(1)。
血液と口腔粘膜のDNAが同じ理由
人体のほぼすべての細胞には同一のDNA配列が格納されています。血液中の白血球と頬の粘膜細胞のDNA情報は完全に一致します。採血をしなくても、親子関係の判定に必要なすべての遺伝情報が取得できます。
精度への影響はゼロ
seeDNA遺伝医療研究所では、口腔粘膜による採取でも血液と同等の解析を実施し、父権肯定確率99.99%以上の精度を担保しています(2)。新生児から高齢者まで、痛みなく安全に検体採取が行えます。
3. 出生前DNA鑑定はなぜ採血が必要なのか?

母体血中の胎児DNA(cfDNA)とは何か
cfDNA(cell-free fetal DNA)とは:妊娠中に胎盤から母体の血液中に流れ出る胎児由来のDNA断片のことです。1997年、デニス・ロー博士らが母体血漿へのcfDNA存在を世界で初めて証明し(3)、現在のNIPT(新型出生前診断)と出生前親子DNA鑑定の科学的基盤となっています。
cfDNAの量と妊娠週数の関係
母体血中の胎児DNA濃度は妊娠の進行とともに増加します。妊娠6週以降から検出可能な量が蓄積されることが研究で示されており(3)、seeDNA遺伝医療研究所では妊娠6週以降から採血による検査を実施しています(2)。
従来の羊水検査との違い
従来、妊娠中に胎児のDNAを調べるには、子宮に細い針を刺して羊水を採取する羊水検査が主流でした。しかしこの方法は流産リスクを伴う侵襲的手技です。
公益社団法人日本産科婦人科学会(JSOG)の指針によると、羊水検査による流産リスクは約300分の1とされています(1)。一方、母体血採血による出生前DNA鑑定は赤ちゃんにも母体にも直接のリスクがありません。
採血は必ず医療機関で行う
採血は医療行為であり、自己採血は認められていません。seeDNA遺伝医療研究所は全国47都道府県300か所以上の提携医療機関で採血が受けられる体制を整えています(2)。
4. 鑑定の種類・検体・採血の有無 比較テーブル
鑑定種別ごとに、必要な検体・採取方法・採血の有無を整理しました。
| 鑑定の種類 | 対象者 | 使用検体 | 採取方法 | 採血 | 検査開始時期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 出生後 親子DNA鑑定 | 子・父・母 | 口腔粘膜 | 専用綿棒で頬の内側を擦る | 不要 | 出生後すぐから |
| 出生前 親子DNA鑑定(母) | 妊娠中の母 | 静脈血(母体血) | 医療機関での採血 | 必要 | 妊娠6週以降 |
| 出生前 親子DNA鑑定(父) | 擬父(父と思われる男性) | 口腔粘膜 | 専用綿棒で頬の内側を擦る | 不要 | ― |
| 血縁・親族DNA鑑定 | 全対象者 | 口腔粘膜 | 専用綿棒で頬の内側を擦る | 不要 | 出生後すぐから |
| 特殊検体DNA鑑定 | 全対象者 | 毛髪・歯ブラシ・爪など | 乾燥保存して提出 | 不要 | ― |
重要ポイント:採血が必要なのは「妊娠中のお母さん1名のみ」です。父親(擬父)は妊娠中であっても口腔粘膜(綿棒)のみで検査が完結します。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 口腔粘膜(綿棒)と血液のDNA鑑定では、精度に差がありますか?
差はありません。人体のすべての細胞には同一のDNAが格納されているため、口腔粘膜でも血液でも得られる遺伝情報は同じです。seeDNA遺伝医療研究所では口腔粘膜採取でも父権肯定確率99.99%以上の精度を保証しています(2)。
Q2. 出生前DNA鑑定の採血は、いつ・どこで受けられますか?
妊娠6週以降であれば採血が可能です。採血は全国300か所以上のseeDNA提携医療機関で受けられます。自己採血は医療行為にあたるため認められていません(2)。
Q3. 日本産科婦人科学会は、母体血を使った出生前検査についてどのような立場ですか?
JSOG(日本産科婦人科学会)は、母体血を用いたNIPTに関する指針を制定し、侵襲を伴わない点で評価しつつも、実施施設の認定・遺伝カウンセリングの徹底を義務付けています(1)。出生前DNA親子鑑定も同様に専門機関での実施が推奨されます。
Q4. 歯ブラシや毛髪でも同じ精度で鑑定できますか?
検体の中にDNAが残っていれば、種類にかかわらず鑑定精度は変わりません。ただし、口腔粘膜に比べてDNA採取に失敗する可能性があり、「特殊検体」として扱われます(2)。
Q5. 母体血による出生前DNA鑑定と羊水検査は何が違いますか?
羊水検査は子宮に針を刺す侵襲的手技であり、約300分の1の流産リスクを伴います(1)。一方、母体血による出生前DNA鑑定は採血のみで完結し、赤ちゃんへの直接的なリスクはゼロです(2)。
参考文献
(1) 公益社団法人 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」 令和2年(2020年)5月改訂
(2) seeDNA遺伝医療研究所「妊娠中の親子DNA鑑定(出生前DNA親子鑑定)」
本記事は公益社団法人日本産科婦人科学会の公開指針、及び査読付き国際学術誌(The Lancet)の論文をもとに作成しています。医療的な判断については必ず専門の医療機関にご相談ください。
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医学博士/遺伝子解析担当:A.M.
2015年東京医科歯科大学大学院 医学博士課程を修了後、同大学整形外科にて特任研究員および研究補佐員として勤務。2018年より株式会社seeDNAに入社後、STR鑑定5,000件以上、NIPPT鑑定約4,000件以上の検査やデータ解析、研究開発などを担当。正確性と品質管理を徹底することで、鑑定ミス「0」を継続中。これまで培った研究経験と分析力を活かし、お客様に安心と信頼をお届けできるよう、品質向上に日々取り組んでいます。

