【医師が監修】NIPTと他の出生前診断は併用できる|検査の組み合わせと意義

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2026.06.11

胎児DNA鑑定

【医師が監修】NIPTと他の出生前診断は併用できる|検査の組み合わせと意義

【医師が監修】NIPTと他の出生前診断は併用できる|検査の組み合わせと意義

 

目的/概要

NIPTと他の出生前診断は併用できます。NIPTは染色体数の異常を高精度で調べるスクリーニング検査で、超音波検査による形態評価や、羊水・絨毛検査による確定診断と役割が異なります。本記事は各検査の特徴と、目的別の組み合わせ方を、公的機関と査読論文に基づき整理します。

1. NIPT以外の主な出生前診断とは?

NIPT以外の主な出生前診断(母体血清マーカー・超音波・コンバインド・羊水/絨毛検査)のイメージ

出生前診断は、確率を調べる「スクリーニング検査」と、診断を確定する「確定的検査」の2種類に分かれます。

以下のうち①〜③はスクリーニング検査、④は確定的検査に分類されます。

① 母体血清マーカー検査とは

母体血清マーカー検査は、母体血中のAFP・hCG・uE3・インヒビンAの4種類の濃度を測定する「クアトロテスト」が代表的です。

  • 対象:21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、神経管閉鎖障害などのリスクを算出
  • 実施時期:妊娠15〜20週ごろ
  • 位置づけ:年齢・体重・週数と組み合わせてリスクを計算するスクリーニング検査で、確定診断ではない

② 胎児超音波検査とは

胎児超音波検査は、胎児の首の後ろの浮腫(NT:nuchal translucency)の厚さを測定する検査です。

  • 実施時期:妊娠11〜13週ごろ
  • 意義:NTが厚い場合は染色体異常リスクが上昇するほか、心臓や脳など臓器の形態的異常の早期発見にも有用

③ コンバインド検査とは

コンバインド検査は、超音波によるNT測定と血液検査(PAPP-A・hCG)を組み合わせたスクリーニング検査です。

  • 実施時期:妊娠11〜13週ごろ
  • 性能:ダウン症候群など主要な染色体異常の検出率は約90%、偽陽性率は約5%(1)

④ 羊水検査・絨毛検査とは

羊水検査・絨毛検査は、羊水や胎盤の絨毛を採取して染色体を直接調べる確定的検査です。

  • 精度:100%に近い診断精度
  • リスク:流産リスクを伴う(手技に起因する流産は約0.1〜0.3%)(2)
  • 適応:NIPTを含むスクリーニング検査で高リスクと判定された場合に検討される

2. NIPTと他の出生前診断は併用できる?

NIPTと他検査の併用イメージ(補完的な役割分担)

結論として、NIPTと他の出生前診断は併用でき、検査の目的に応じた組み合わせが重要です。

NIPTは染色体数の異常を高精度で検出しますが、形態的異常の評価や確定診断はできません。次の3つの組み合わせが代表的です。

NIPTと超音波検査を併用するメリットとは

NIPTと超音波検査は互いに補完的です。NIPTは染色体数の異常検出に優れる一方、心臓や脳などの形態的異常は検出できません。超音波検査は形態的異常を視覚的に確認でき、NIPTにはない情報を提供します。

306例を対象とした研究では、NIPTと超音波検査を組み合わせることで、性染色体異常・微小欠失重複症候群・稀な常染色体異常の検出率が、NIPT単独より上昇したと報告されています(3)。

コンティンジェント法(コンバインド検査の後にNIPT)とは

コンティンジェント(条件付き)法は、コンバインド検査を一次スクリーニングとし、中〜高リスクの場合にNIPTを二次スクリーニングとして追加する方法です。

  • 利点:スクリーニング精度を維持しつつ、不要な確定的検査を減らせる(4)
  • 採用状況:費用対効果に優れる戦略として複数の国・地域で検討・実施されている(4)
  • 留意点:NIPTが高リスクでも、それはリスクが高いことを示すのみで確定診断ではない

NIPTで高リスクの場合に確定診断へ進む理由

NIPTで高リスクと判定された場合、羊水検査や絨毛検査による確定診断が推奨されます。

NIPTはスクリーニング検査であるため、高リスク判定だけで妊娠継続の可否などを判断することは適切ではなく、確定的検査による確認が不可欠です(5)。

3. NIPTを他の検査と併用する際の注意点

NIPT併用時の注意点(対象疾患・情報・費用)のイメージ

NIPTは万能ではなく、対象疾患・得られる情報・費用の3点を理解して選択することが重要です。

① NIPTはすべての異常を網羅できない

NIPTは主に21・18・13トリソミーの検出に優れます。検査機関によっては性染色体異常や微小欠失症候群も対象です。一方で次の点に注意が必要です。

  • 心臓・脳・四肢などの形態的異常は超音波検査でなければ確認できない
  • 筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症など単一遺伝子疾患は、通常のNIPTでは検査対象外

② コンバインド検査でNIPTにはない情報が得られる

コンバインド検査は、超音波によるNT測定での早期の形態確認と、胎盤機能に関連するPAPP-A値の把握を含みます。PAPP-A値が低い場合は妊娠高血圧腎症のリスク上昇が示唆されます。NIPTを優先すると、これらの情報を得る機会が限られる可能性があります。

③ 費用と目的に応じて検査を選ぶ

NIPTは精度が高い一方で自費診療となるケースが多く、医療機関により費用が異なります。年齢・リスク因子・費用・価値観を踏まえ、担当医や遺伝カウンセラーと十分に相談して決定することが重要です(6)。

4. 各検査の比較表

主要な出生前検査の分類・時期・対象・リスクを一覧で整理します。

検査 分類 実施時期 主な対象・特徴 流産リスク
母体血清マーカー スクリーニング 15〜20週 21・18トリソミー、神経管閉鎖障害のリスク算出 なし
胎児超音波(NT) スクリーニング 11〜13週 NT測定、心臓・脳などの形態的異常の評価 なし
コンバインド検査 スクリーニング 11〜13週 NT+PAPP-A・hCG。検出率約90%/偽陽性率約5% なし
NIPT スクリーニング 10週〜 21・18・13トリソミーを高精度で検出(採血のみ) なし
羊水・絨毛検査 確定的検査 絨毛11〜14週/
羊水15週〜
染色体を直接分析し確定診断(精度ほぼ100%) 約0.1〜0.3%

5. サマリー

  • NIPTと他の出生前診断は、目的が異なれば併用できる
  • NIPTは染色体数の異常検出に高精度だが、形態的異常の評価や確定診断はできない
  • 超音波検査との併用で形態評価を補完でき、稀な異常の検出率も上昇する(3)
  • コンティンジェント法は不要な確定的検査を減らせる(4)
  • NIPTで高リスクの場合は、羊水・絨毛検査による確定診断が不可欠(5)

6. よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTと超音波検査は同時に受けられますか?

受けられます。両者は補完的で、NIPTが染色体数の異常を、超音波検査が形態的異常を評価します。併用により稀な染色体異常の検出率も上昇すると報告されています(3)。

Q2. コンバインド検査とNIPTはどちらを先に受けるべきですか?

一次スクリーニングにコンバインド検査を行い、中〜高リスクのときにNIPTを追加するコンティンジェント法が、不要な確定的検査を減らす方法として用いられています(4)。

Q3. NIPTが陽性なら羊水検査は必須ですか?

NIPTはスクリーニング検査のため、陽性(高リスク)でも確定診断ではありません。確定には羊水検査または絨毛検査が推奨されます(5)。

Q4. 羊水検査・絨毛検査の流産リスクはどの程度ですか?

手技に起因する流産リスクは約0.1〜0.3%とされています(2)。

Q5. NIPTで分からない異常はありますか?

心臓・脳・四肢などの形態的異常や、筋ジストロフィー等の単一遺伝子疾患は通常のNIPTの対象外です。これらは超音波検査や別の検査が必要です。

参考文献

(1)First trimester diagnosis and screening for fetal aneuploidy. PMC(National Library of Medicine)、2011年6月

(2)Risk of miscarriage following amniocentesis or chorionic villus sampling: systematic review and updated meta-analysis. Ultrasound in Obstetrics & Gynecology(Wiley Online Library)、2019年9月

(3)Retrospective study on NIPT or NIPT plus combined with ultrasound in screening fetal chromosomal abnormalities. Scientific Reports(Nature)、2025年4月

(4)Combined first-trimester screening vs non-invasive prenatal testing. Ultrasound in Obstetrics & Gynecology(Wiley Online Library)、2024年12月

(5)NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは 出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)

(6)新型出生前検査(NIPT) 遺伝子検査のseeDNA(seedna.co.jp)

本記事は出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)の公開資料および査読付き国際学術誌の論文をもとに作成しています。医療的な判断については必ず専門の医療機関にご相談ください。

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監修者

医学博士・医師 広重 佑(ひろしげ たすく)

医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか

2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。