【医師が監修】NIPT(新型出生前診断)を受けるメリットとは?検査の精度と安心の理由を徹底解説
概要
- NIPTは採血のみで胎児の染色体異常を調べられる負担の少ない検査です。
- 高精度で21トリソミー(ダウン症)などのリスクを判定できます。
- 妊娠10週以降から受検でき、今後の出産準備に向けた時間が確保できます。
目次
1. NIPT検査を受けるメリットとは?

NIPT(新型出生前診断)という言葉を聞いたことがあっても、実際にどのようなメリットがあるのか分からないという妊婦の方は少なくありません。
出生前検査にはNIPTの他にも超音波検査、母体血清マーカーテスト、羊水検査や絨毛検査など複数の種類があり、それぞれ検査方法や調べられる項目、母体への負担、受けられる時期などが異なります。本記事では、NIPT検査を受けることで得られる主なメリットについて、医学的な根拠とともにわかりやすく解説します。
2. 高い精度で染色体異常の可能性を調べられる

NIPTにおける最大のメリットの一つは、染色体異常の可能性を高い精度で調べられることです。NIPTは、母体血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析し、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの可能性を判定する検査です。検査機関によっては性染色体異常や微小欠失症候群などの検査が可能な場合もあります。
2014年に発表された大規模臨床研究では、NIPT検査と従来の母体血清マーカーテストを比較した結果、検出精度はNIPTの方が高く、誤って高リスクと判定される割合が大幅に低いことが報告されています(1)。
また、複数の研究結果を統合した報告でも、21トリソミーに関する検出精度は99%以上、18トリソミー・13トリソミーについても高い精度が示されています(2)。
このように高い精度で判定できることは、確定診断のための精密検査を不必要に受ける機会を減らすことにつながり、妊婦の方の心理的・身体的な負担の軽減にも役立っています。判定結果が低リスクであった場合、不要な不安を抱えずに妊娠期間を過ごせるという点も重要なメリットといえます。
3. 母体と胎児への負担が少ない

NIPTは、母体の血液を採取するだけで実施できる検査です。羊水検査や絨毛検査のように子宮内に針を刺す侵襲的な検査とは異なり、母体や胎児に直接的な処置を行う必要がありません。採血自体は数分程度で完了するため、身体的な負担はごく小さなものにとどまります。
羊水検査や絨毛検査は確定診断が得られる検査で、いずれもほぼ100%に近い検査精度を有します。しかし、非常に低い割合ではありますが、流産リスクを伴います(約0.1〜0.3%程度)(3)。
NIPTは採血のみで実施できるため、こうした手技に伴うリスクを回避しながら、染色体異常の可能性についての情報を得られる点が大きな特徴です。また、妊娠10週以降という比較的早い時期から検査を受けられることも、身体的な負担の少なさにつながっています。
4. 出産や今後の準備について考える時間を確保できる

前述したように、NIPTは妊娠10週以降から受けることができ、結果も短期間で判明します。医療機関や検査機関によって多少の差はありますが、一般的には採血から数日〜2週間程度で結果を確認できます。そのため、その内容を踏まえて出産や今後の生活について考える時間を、ご家族で確保しやすいというメリットがあります。
検査結果が低リスクであれば、安心して妊娠期間を過ごすための材料の一つとなります。一方、高リスクと判定された場合には、確定診断のための羊水検査や絨毛検査を受けるかどうかについて、専門医や遺伝カウンセラーに相談しながら、今後の方針を検討する時間が生まれます。
出生前検査は、結果によってその後の選択肢や心構えが大きく変わる可能性がある検査です。早い時期に情報を得られることは、医療機関や専門家への相談、受け入れ体制が整った施設の選択、出産・育児に向けた準備など、ご家族にとって重要な意思決定のための時間を確保するという点で、大きな意味を持ちます。気持ちの整理をするための時間的な余裕が生まれることも、心理的な負担を軽減する一助となります。
5. NIPT検査のメリットを理解したうえで自分に合った選択を
NIPTには、高い精度で染色体異常の可能性を調べられること、母体や胎児への身体的負担が少ないこと、そして検査結果を踏まえて今後について考える時間を確保できることなど、複数のメリットがあります。
一方で、NIPTはあくまで可能性を調べるスクリーニング検査(非確定的検査)であるという点も理解しておく必要があります。高リスクと判定された場合には、羊水検査や絨毛検査などによる確定診断が推奨されます。検査を受ける前には、結果が示す意味や、その後どのような選択肢があるのかについて、十分な遺伝カウンセリングを受けておくことも大切です。
出生前検査を検討する際は、それぞれの検査のメリットと限界を正しく理解したうえで、専門医や遺伝カウンセラーとよく相談しながら、ご自身やご家族にとって納得のいく選択をしていただければと思います。
6. サマリー
- 精度の高さ:従来の検査に比べ、ダウン症などの染色体異常を極めて高い精度(99%以上)で検出可能です。
- 負担の少なさ:採血のみで完了するため、羊水検査などに伴う流産リスクを回避できます。
- 早期の準備:妊娠10週から検査可能であり、ご家族で今後の方針を話し合うための十分な時間を確保できます。
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7. NIPTに関するよくある質問(FAQ)
Q. NIPT検査はいつから受けられますか?
妊娠10週以降から受けることができ、母体の採血のみで実施可能です。
Q. NIPTの結果が出るまでにどのくらい時間がかかりますか?
医療機関によって異なりますが、一般的には採血から数日〜2週間程度で結果が確認できます。
Q. NIPTで高リスクと判定された場合はどうすればよいですか?
NIPTは非確定的検査であるため、専門医や遺伝カウンセラーに相談のうえ、羊水検査などの確定診断を検討することが推奨されます。
参考文献
(1)The New England Journal of Medicine、2014年
(2)Ultrasound in Obstetrics & Gynecology、2017年
(3)Ultrasound in Obstetrics & Gynecology、2015年
本記事は査読付き国際学術誌(The New England Journal of Medicine、Ultrasound in Obstetrics & Gynecology)の論文をもとに作成しています。医療的な判断については必ず専門の医療機関にご相談ください。
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医学博士・医師 広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。
