【医師が監修】NIPTの「偽陽性」「偽陰性」はなぜ起こる?4つの原因と対処法

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2026.08.14

胎児DNA鑑定

【医師が監修】NIPTの「偽陽性」「偽陰性」はなぜ起こる?4つの原因と対処法

【医師が監修】NIPTの「偽陽性」「偽陰性」はなぜ起こる?4つの原因と対処法

 

目的/概要

  • NIPTの偽陽性・偽陰性が起こる生物学的な原因を解説
  • 胎盤限局性モザイク、バニシングツイン、母体側の要因、胎児分画(FF)不足の4要因を整理
  • 「高リスク」判定後に確定検査が必要な理由がわかる

NIPT(新型出生前診断)の偽陽性・偽陰性は、主に胎盤限局性モザイクなどの生物学的要因で起こります。NIPTは確定診断ではなく、「高リスク」の結果は羊水検査などの確定検査での確認が必要です。

「高リスク」に強い不安を感じるのは自然ですが、それは染色体異常の確定ではありません。結果と赤ちゃんの実際の状態にズレが生じる理由を順に解説します。

1. NIPTの「偽陽性」「偽陰性」とは?

NIPTの偽陽性・偽陰性の定義(結果と実際の状態のズレ)のイメージ

偽陽性とは、実際には染色体異常がないのに「高リスク」と判定されることです。偽陰性とは、実際には染色体異常があるのに「低リスク」と判定されることです。

NIPTは、母体血中のcell-free DNA(母体由来と胎盤由来〈cffDNA〉を含む)を解析し、赤ちゃんの染色体異常の可能性を評価します。大規模なメタ解析では、21トリソミー(ダウン症候群)の検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています(1)。ただし、「絶対に間違えない」という意味ではありません

性染色体異常や微小欠失症候群など頻度の低い疾患では陽性的中率が下がり、「高リスク」でも異常が確認されないケースが増えます(2)。そのため、「高リスク」の結果は羊水検査などの確定検査で確認することが推奨されています(3)。

2. NIPTで「偽陽性」が起こる3つの理由とは?

偽陽性が起こる3つの理由(胎盤限局性モザイク・バニシングツイン・母体要因)のイメージ

主な原因は、①胎盤限局性モザイク、②バニシングツイン、③母体側の要因です(2)。

① 胎盤限局性モザイクとは?

モザイクとは、正常な細胞と染色体異常を持つ細胞が体内に混在する状態です。NIPTで解析するDNAは、赤ちゃん自身ではなく主に胎盤の細胞(絨毛細胞)に由来します。まれに、胎盤の一部だけに異常細胞が混在する「胎盤限局性モザイク」が起こると、赤ちゃんに染色体異常がなくても胎盤由来のDNAに異常が反映される、偽陽性の代表的な原因となります(2)。

② バニシングツインとは?

バニシングツインとは、双子の一方が妊娠初期に亡くなり、子宮内に吸収されていく現象です。亡くなった胎児に染色体異常があった場合、その名残のDNAが母体血中にしばらく残り、健康な赤ちゃんでも「高リスク」と判定されることがあります(2)。

③ 母体側の要因とは?

NIPTで解析されるDNAの大部分は妊婦さん自身に由来するため、母体に軽度の染色体モザイクやコピー数変異(染色体の一部の過不足)があると結果に反映されることがあります(2)。自覚症状のない腫瘍由来のDNAが血中に混入し、結果に影響したまれな例も報告されています(2)。

3. NIPTで「偽陰性」が起こる2つの理由とは?

偽陰性が起こる2つの理由(胎児分画不足・胎盤限局性モザイク)のイメージ

偽陰性の頻度は偽陽性より低く、不一致206例の系統的レビューでは偽陽性88%・偽陰性12%でした(2)。主な原因は、①胎児分画(FF)の不足②胎盤限局性モザイクです。

① 胎児分画(FF)の不足とは?

胎児分画(Fetal Fraction:FF)とは、母体血中のDNAのうちcffDNAが占める割合です。FFが不足すると「判定保留」となり、不十分なまま報告されると、まれに異常を見逃す偽陰性につながります(4)。FFは妊娠週数が早いほど、母体の体重・BMIが高いほど低い傾向があり(5)、基準値(一般に4%)未満では判定保留や再検査となります(4)。

② 胎盤限局性モザイク(偽陰性型)

偽陽性とは逆に、赤ちゃんに染色体異常があっても、胎盤側の細胞の大部分が正常であれば「低リスク」と判定されることがあります。絨毛検査5,967件の解析では、トリソミー404例中14例(3.7%)が絨毛では正常または低頻度モザイクで、NIPTで見逃されうると報告されています(6)。

4. 偽陽性・偽陰性の主な原因一覧

原因 起こる仕組み 結果への影響
胎盤限局性モザイク 胎盤の一部のみ染色体構成が赤ちゃんと異なる 偽陽性・偽陰性の両方
バニシングツイン 消失した双胎由来のDNAが母体血中に残存 偽陽性
母体側の要因 母体のモザイク・コピー数変異・腫瘍由来DNAが反映 偽陽性
胎児分画(FF)の不足 胎児(胎盤)由来DNAの情報量が不足 判定保留・偽陰性

5. NIPTの結果を正しく理解するには?

NIPT結果の正しい理解と遺伝カウンセリングの活用のイメージ

NIPTは「リスクを評価するスクリーニング検査」であり、確定診断ではありません(3)。「高リスク」でも確定検査までは染色体異常の有無は確定せず、「低リスク」でも、まれに偽陰性の可能性があります。結果だけで結論を急がず、遺伝カウンセリングも活用しながら、ご家族で納得のいく選択をすることが大切です(7)。

6. サマリー

  • NIPTの偽陽性・偽陰性は、胎盤限局性モザイク、バニシングツイン、母体側の要因、胎児分画(FF)不足という生物学的要因で起こる
  • 検出率99.7%(21トリソミー)と高精度でも、NIPTは確定診断ではない(1)
  • 「高リスク」は羊水検査などの確定検査で確認する(3)
  • 不安なときは遺伝カウンセリングを活用する

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7. よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTの偽陽性率はどのくらいですか?

大規模メタ解析では、21トリソミーの偽陽性率は0.04%と報告されています(1)。ただし、陽性的中率は母体年齢や疾患の頻度で変わり、微小欠失症候群など頻度の低い疾患では低下します(2)。

Q2. NIPTの偽陰性はどのくらいの頻度で起こりますか?

不一致206例の系統的レビューでは、偽陰性は全体の12%でした(2)。ハイリスク妊婦の絨毛検査5,967件の解析では、426件に1件の割合で18・21トリソミーが見逃されうると推計されています(6)。

Q3. 「高リスク」と判定されたらどうすればよいですか?

結果は確定ではありません。羊水検査などの確定検査と遺伝カウンセリングを受け、赤ちゃんの状態を正確に確認することが推奨されています(3)。

Q4. 「判定保留」とは何ですか?

胎児分画(FF)の不足などにより、高リスク・低リスクのどちらとも判定できない状態です(4)。再採血による再検査で結果が得られることもあります(4)。

8. 参考文献

(1)Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound in Obstetrics & Gynecology、2017年9月

(2)Hartwig TS, et al. Discordant non-invasive prenatal testing (NIPT) – a systematic review. Prenatal Diagnosis、2017年6月

(3)日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会「お腹の赤ちゃんの検査の種類」

(4)Norton ME, et al. Cell-free DNA analysis for noninvasive examination of trisomy. The New England Journal of Medicine、2015年4月

(5)Wang E, et al. Gestational age and maternal weight effects on fetal cell-free DNA in maternal plasma. Prenatal Diagnosis、2013年7月

(6)Van Opstal D, et al. False negative NIPT results: Risk figures for chromosomes 13, 18 and 21 based on chorionic villi results in 5967 cases and literature review. PLOS ONE、2016年1月

(7)seeDNA遺伝医療研究所「NIPT(新型出生前診断)とはどのような検査なの?」

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監修者

医学博士・医師

広重 佑(ひろしげ たすく)

医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか

2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。