【専門家が解説】人由来の組織ではなく、モノでDNA鑑定ができるのは何故?
結論:本人から血液や口の中の粘膜(ほっぺの内側の細胞)を直接とらなくても、モノに残ったごくわずかなDNAで鑑定ができます
DNA鑑定は、歯ブラシや髪の毛、タバコの吸い殻、マスクなどに残ったわずかな細胞から行うことができます。こうしたモノには、はがれ落ちた皮膚のかけらやだ液が付いており、その中にDNAが含まれています。量はとても少ないため、PCR法で同じDNAをたくさんコピーし、調べられる量まで増やします。
目次
1. 血液や細胞を直接採取せずにDNA鑑定ができる科学的根拠

私たちは、皮膚のかけらや唾液、汗、皮脂を無意識のうちに周りに残しています。コップで水を飲む、歯ブラシを使う、ドアノブに触るといった日常の動作で、細胞がモノの表面に移ります。これは「付着DNA」と呼ばれます。1997年の研究では、指で数秒触れただけの物からでも、個人を特定できるDNA型が検出できると示されました。
2. 主な「モノ」検体

モノの種類や状態によって、結果の出やすさは変わります。
| 代表的な検体の種類 | DNAが含まれる細胞 | 適性 (結果の得られやすさ) |
|---|---|---|
| 毛髪(毛根付き) | 毛根に含まれる細胞の核 | 高い 毛根がある場合 |
| 歯ブラシ・爪 | 付着した表皮細胞・唾液中の細胞 | 中〜高 |
| タバコの吸殻・割りばし | 唾液中の口腔粘膜細胞 | 中〜高 |
| 使用済みマスク・眼鏡 | 呼気中の飛沫・皮脂に含まれる細胞 | 中 |
| 触れた物の表面 (ドアノブ等) |
微量の表皮細胞 (付着DNA) |
低〜中 付着量に依存 |
3. ごく微量のDNAから個人を特定する「PCR法」とSTR解析

体の細胞1個に入っているDNAは、約6ピコグラム(1兆分の1グラムの単位)しかありません。そこで使われるのが「PCR法」です。PCR法は酵素の力で、調べたい部分のDNAを何十億倍にも増やします。海外では、綿の服に2秒触れただけで完全なDNAプロファイルが得られたという報告もあります。[1]
増やしたDNAは、主に「STR(短鎖反復配列)」という部分で調べます。[2]STRは、同じ塩基の並びが何回くり返されるかが人によって違います。この回数を複数の場所で調べると、バーコードのように「その人だけのパターン」が見えてきます。
4. 鑑定の失敗を防ぐ保管方法と信頼できる検査機関の選び方

DNAは水分や熱、紫外線に弱く、雑菌が増えると急にこわれてしまいます。検体を採取したら、直射日光を避けて風通しのよい日陰でしっかり自然乾燥させましょう。[3]
検査機関を選ぶときは、次の点を確認します。
▶ 実績と保証:モノの検体の取り扱いが多いか。判定不能のときに無料で再鑑定してくれるか。
▶ 第三者の認証:個人情報を守るプライバシーマーク(Pマーク)や、品質管理の国際基準ISO9001を取得しているか。
▶ 厳密な検体管理:採取から報告までを記録し、裁判などの証拠にできる基準を満たしているか。
▶ 混合DNAへの対応:何人かが触れた検体でも、解析ソフトで分けて調べられるか。
5. まとめ
毛髪や歯ブラシなどからDNA鑑定ができるのは、付着したわずかな細胞のDNAをPCR法で増やして調べられるからです。ただし、結果の正確性は検体の量や新しさに左右されます。検査機関は、実績や第三者認証、目的に合った鑑定ができるかを確認して選びましょう。
6. FAQ
Q1. モノでDNA鑑定ができるのはなぜですか?
A. 皮膚のかけらや汗・皮脂・唾液に混じった細胞が物に移り、そのDNAをPCR法で増やして調べられるからです。
Q2. どんなモノが検体になりますか?
A. 毛根付きの毛髪、歯ブラシ、爪、タバコの吸い殻、割りばしなどです。
Q3. モノのDNAと血液のDNAで結果は変わりますか?
A. 同じ人なら、DNAの配列は組織が違っても同じです。正しく解析できれば結果は変わりませんが、検体の状態で成功するかどうかは変わります。
Q4. 信頼できる検査機関はどう見分けますか?
A. 検体の取り扱い実績と、判定不能時の再鑑定保証を確認しましょう。PマークやISO9001があれば、管理体制が一定の基準を満たしている目安になります。
Q5. 古い検体でも鑑定できますか?
A. 保管状況次第です。細胞が少ない検体や、湿ったまま長く置いて雑菌が増えた検体は、DNAがこわれて判定不能になりやすくなります。
7. 参考文献
[1] Scientific Reports、2019年7月
[2] Bio Techniques、2018年5月
[3] Journal of Forensic Science and Research、2024年5月
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seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。家族や親子の血縁関係、浮気調査などのモノを使ったDNA鑑定にお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家がしっかりとご安心いただけるようサポートいたしますので、お気軽にお問合せください。
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検査員:C.H.
seeDNA遺伝医療研究所で検査員として勤務。
妊娠中の親子DNA鑑定の検査やデータ解析を担当している。
