リライティング日 : 2026年 01月 25日
【要約】
左利きは全人口の約10%。最新の遺伝学研究により、左利きに関連する41のDNA領域と、胎児期の体の形成に関わる「TUBB4B」遺伝子が利き手の決定に影響することが判明しました。
目次
左利きは遺伝なのか?その遺伝的研究
あなたの利き手はどちらでしょうか?
ヨーロッパやアメリカでは左利きの人が多いといわれていますが、日本を含む世界中の多くの人は右利きが多く、左利きの人は全人口の10%程度と言われています。そのため、日用品やハサミなどの道具も、右手で利用することを前提とした製品が多く作られています。
何故左利きの人が少ないのか?左利きに関する研究は100年以上も前から行われていますが、現在も左利きとなる詳細なメカニズムは判明していません。
これまでの研究で、左利きについては日常生活や訓練によって作られた環境的な要因以外に、親子で遺伝することが判明しています。例えば、父親と母親が左利きの場合、生まれる子どもは2人とも右利きの親よりも左利きになる可能性が高いという調査結果があります。そのため、科学者たちは利き手には遺伝的な影響があると推測し、「共通遺伝子多型」に関する大規模な研究によって左利きに関連する41のDNA領域と、両利きに関連する7つのDNA領域を発見しました(1)。
この研究による発見は、左利きの遺伝に関する興味深い内容ではありましたが、大きな課題が残されていました。それは、左利きに関連する可能性が高いSNPのDNA領域が特定されただけで、それがどのように作用して左利きとなるのかが解明されていなかったことです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 左利きの割合 | 全人口の約10% |
| 右利きの割合 | 全人口の約90% |
| 左利き関連DNA領域 | 41領域 |
| 両利き関連DNA領域 | 7領域 |
| 研究の歴史 | 100年以上 |
新たな研究による「稀な多型」の発見
イギリスの科学雑誌「Nature Communications」に発表された最新の研究(2)は、左利きに影響があるとされる別形態の遺伝子多型、その「稀な多型」の役割に焦点を当てた内容でした。これまで研究されていた共通遺伝子多型とは違い、この「稀な多型」は、人口の1%未満のごくわずかな人にしか見られないものでした。そのため、この研究を行うには大人数の研究ボランティアの参加が必要となり、研究は困難なものになると思われました。
幸運にも、研究者たちは多くの遺伝子データを持つU.K. Biobankの協力で、38,043人の左利きと313,271人の右利きのデータセットにアクセスすることができました。研究者たちはエクソームシーケンシングという手法を用いて、タンパク質をコード(特定のたんぱく質を作るための遺伝子の塩基配列)するゲノムの全領域の遺伝子多型に関する情報を収集しました(3)。この遺伝子多型が、胎児の脳や体を形成する際に用いられる重要なたんぱく質を生成する役割があるため、それが左利きに関連している可能性があると考えたからです。
遺伝子多型TUBB4Bが左利きに影響している?
これらの研究から、たんぱく質をコードする遺伝子多型「TUBB4B」が左利きに影響することがわかってきました。TUBB4Bは微小管の構築に重要な遺伝子で、細胞の安定性を確保する役割を持っています。この研究結果は、左利きと体の左右(例:心臓が左、肝臓が右になる)の形成との関連性を示す興味深い発見となりました。つまり、胎児の身体が作られる初期の段階で左利きになる遺伝的な要因があるということがわかってきたのです。
自分が左利きになった要因を知りたいのなら、このTUBB4Bという遺伝子のSNPという特定領域を調べる遺伝子検査を受けてみてはいかがでしょうか。
| 研究 | 発見内容 | 発表年 |
|---|---|---|
| Cuellar-Partidaら | 左利きに関連する41のDNA領域、両利きの7領域 | 2021年 |
| Schijvenら | 稀な遺伝子多型「TUBB4B」が左利きに影響 | 2024年 |
まとめ:左利きと遺伝の関係
- 左利きは全人口の約10%で、親から子へ遺伝する傾向がある
- 2021年に左利き関連の41のDNA領域が発見された
- 2024年にはTUBB4B遺伝子の稀な多型が左利きに影響することが判明
- TUBB4Bは胎児の脳や体の左右非対称形成に関与する
- 遺伝子検査でTUBB4BのSNPを調べることで、左利きの遺伝的要因を確認できる
よくある質問(FAQ)
Q1. 左利きは100%遺伝で決まるのですか?
A. いいえ。左利きには遺伝的要因のほか、環境要因や胎児期の発達も関与すると考えられています。ただし最新研究で、TUBB4B遺伝子など複数のDNA領域が利き手の決定に影響することが明らかになっています。
Q2. 両親が左利きだと子どもも左利きになりますか?
A. 必ずしもそうではありませんが、両親とも右利きの場合と比較して、子どもが左利きになる可能性が高くなることが調査で示されています。
Q3. TUBB4B遺伝子とは何ですか?
A. TUBB4Bは微小管の構築に関わるタンパク質をコードする遺伝子で、細胞の安定性確保に重要な役割を果たします。胎児の脳や体の左右非対称形成にも関与しており、左利きとの関連が示されています。
Q4. 遺伝子検査で左利きの要因を調べられますか?
A. はい。TUBB4BをはじめとするSNP(一塩基多型)を調べる遺伝子検査によって、左利きに関連する遺伝的要因を確認することが可能です。
参考文献
(3) New Genes for Left-Handedness Discovered
『Psychology Today、2024年4月』
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著者情報
著者:seeDNA 遺伝医療研究チーム
株式会社seeDNAにて新型出生前検査と遺伝子検査を行う専門家チームです。2016年には特許技術である微量DNA解析を用いた日本国内初の出生前DNA鑑定を開発しました。海外ロイヤリティフリーの新型出生前検査と次世代DNA鑑定の開発に成功した日本国内初の検査機関です。
