新たに発見された瞬きの役割
ヒトは起きている時間の3~8%は、瞬きによって目を閉じて過ごしているそうです。つまり、1時間のウォーキングのうち、2~4分は目を閉じて歩いていることになります。そう考えると瞬きは危険な行為だなと考えてしまいますよね。ヒトが無意識に行っている「瞬き」ですが、瞬きは目の潤いを保ち乾燥を防ぐための行為であることは広く知られていますが、ロチェスター大学で行われた新たな研究によって、瞬きには脳が視覚情報を効果的に処理する役目があることが判明しました。
今回は、その新たに発見された瞬きの役割についてご紹介します。
瞬きに関する研究
瞬きには、目を乾燥から防ぐことや目に入った異物を取り除く役割がありますが、ロチェスター大学の研究者であるビン・ヤン、ジャニス・イントイ、ミケーレ・ルッチ達は、それだけの役割にしては瞬きの頻度が多いため、それ以外の役割もあるのではないか?と考え研究を行いました。
彼らの研究には、正常な視力をもつ12名の男女に参加してもらい、偏った研究結果にならないよう具体的な研究目的を知らせずに実験を行ったそうです。
実験には、目の動きを正確に確認できる機能をもったモニターを使い、そこに映される細かさや並び方の異なる縞模様を見て、その模様が左右のどちらに傾いているかを判別するという内容でした。また、瞬きの効果を測定するための条件も設定されました。1つ目は、モニターに縞模様が表示されているときに瞬きを行い、もう一つはモニターに縞模様が表示される前に瞬きをするという条件でした。
また、各条件の実験を何度も実施して、それぞれの条件で正確にパフォーマンスが比較できるようデータの収集と分析を行ったといいます。
瞬きが脳に与える効果の発見
縞模様の傾きを判別する実験の結果、縞模様がモニターに映される前に瞬きをした場合と比較して、モニターに縞模様が表示されている時に瞬きしたほうが、縞模様の傾きを判別する能力が大きく向上することが分かりました。この判別能力の向上は、回答の正確性とスピードの両方で明確に現れたそうです。
そのため研究者たちは、この能力の向上が瞬きによって発生する輝度の変化によるものだと考えました。輝度とは、目に入る光の量で瞬きをすると目が一時的に閉じられるため、輝度が急激に変化します。この視覚情報のリセットが、脳が視覚から入った情報を効果的に処理することを補助していると考えたのです。
この研究を行ったミケーレ・ルッチの「瞬きによる視覚刺激が網膜に与えられることによって、視覚情報がリセットされるため同じシーンを見続けているときとは大きく異なる輝度信号が得られる」という仮説をさらに検証するため、モニターの表示を一時的に暗くする実験を実施しました。その結果、参加者のパフォーマンスが瞬きをしたときと同様に向上したのです。これにより、瞬きという行為ではなく、瞬きによる輝度の変化が視覚処理を改善させる要因であることが分かったのです。
研究者たちは、この研究によって瞬きが脳の視覚情報処理に有益な輝度変化をもたらし、能力を向上させることを発見したのです。この研究論文の著者であるビン・ヤンが「我々は、瞬きによって得られる視覚刺激が、視覚処理を向上させることを発見した。これまでは、瞬きは視覚処理を妨げるものと言われていたが、視覚の処理能力を向上が、瞬きによる視覚情報の損失を十分に補っている」と説明しました。この研究により、瞬きが目を潤すだけの役割ではなく、視覚情報の処理においても重要な役割を果たしていることを発見するとともに、瞬きによる一時的な視覚情報の中断を利用して視覚情報の処理を改善するようヒトが進化してきたこともわかったといいます。
参考文献
・「Eye blinks as a visual processing stage」
歩行中に瞬きで目を閉じても危険な目に合わないのは、それを補う視覚処理の改善があるからということなのでしょうか。
瞬きの新たな役割の発見に関するお話しは以上となりますが、色々なことを疑問に感じ、研究する人がいるのですね。
しかし、このような疑問や謎を解明するための研究が大きな発見となり、その発見が遺伝子検査や科学技術の向上に繋がることがあります。
遺伝子検査技術は日々進化を続けており、がんや生活習慣病などの疾患リスクや性格/才能とあわせて祖先のルーツまで1度の検査で分かる時代になりました。
もしもあなたが、本当の自分を知りたいとお考えでしたら、一度、遺伝子検査を受けてみてはいかがでしょうか。自分の知らなかった意外な能力が発見できるかもしれません。
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Author
医学博士 富金 起範
筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2016年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発