NIPT(新型出生前診断)で「陽性」と判定されたら?~知っておきたい確定診断の種類と、その後の選択~
◆ NIPTの「陽性」が意味するもの

まず、NIPTは、あくまでも「スクリーニング検査」であり、胎児に染色体異常がある可能性を評価するものです。NIPTの検査結果は、以下のように解釈されます。
1. 「陽性」判定の解釈
「陽性」とは、胎児が検査対象となった特定の染色体異常(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーなど)を持つ可能性が非常に高いということを示します。
NIPTは非常に高精度で知られていますが、それでも100%の確定診断ではありません。この「可能性が高い」というあいまいな状況を生むのが、主に二つの要因です。
偽陽性の存在
検査結果が陽性であるにもかかわらず、実際には胎児に染色体異常がない状態を**「偽陽性(ぎようせい)」**と呼びます。偽陽性の確率は、検査対象の染色体異常の種類や、妊婦さんの年齢によって変動します。
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若い妊婦さんの場合:高齢の妊婦さんと比較して、もともと胎児が染色体異常を持つ確率(疾患頻度)が低いため、陽性が出たとしても、それが偽陽性である確率が相対的に高くなります。
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陽性的中率:検査で陽性と判定された人のうち、実際に疾患を持っている確率を指します。陽性的中率は、妊婦さんの年齢が高くなるにつれて上昇します。
胎盤限定モザイクの可能性
NIPTは、母体血中の胎児由来のDNA断片(cfDNA)を解析していますが、このDNA断片は、主に胎盤から放出されたものです。そのため、胎盤の細胞にだけ染色体異常が存在し、胎児本体の細胞は正常である**「胎盤限定モザイク」**という稀な状態が存在します。この場合、NIPTでは陽性となりますが、胎児は健康である可能性があります。
このように、「陽性」は確定ではないため、その後の行動を決定する上で、確定的検査を受けることが必須となります。
2. 「陰性」判定の解釈
「陰性」は、胎児が検査対象の染色体異常を持つ可能性が極めて低いことを示します。NIPTの陰性的中率(陰性だった場合に本当に疾患がない確率)は非常に高いですが、稀に偽陰性(実際は異常があるのに陰性と出る)となるケースも存在します。◆ NIPT陽性後のファーストステップ:遺伝カウンセリング

NIPTの結果が陽性であった場合、まずは落ち着いて遺伝カウンセリングを受けることが極めて重要です。このプロセスは、結果を正しく理解し、ご夫婦が今後の意思決定をするための土台となります。
遺伝カウンセリングの役割
遺伝カウンセリングは、専門医(臨床遺伝専門医など)や認定遺伝カウンセラーによって行われます。
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結果の正確な説明と理解: NIPTの「陽性」が具体的に何を意味するのか、偽陽性の可能性や陽性的中率について、詳細かつ正確な情報を提供します。
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確定診断の必要性の説明: 診断を確定させるために羊水検査や絨毛検査が必要であることを説明し、それぞれの検査内容、リスク、時期について情報提供します。
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ご夫婦の心理的サポート: 結果を受け止めきれないご夫婦の心情に寄り添い、精神的なケアを提供します。
- 今後の選択肢の整理: 確定診断の結果、陽性だった場合に、「妊娠を継続するかどうか」「継続する場合の出産後の準備」など、あらゆる選択肢について、ご夫婦が後悔のないよう冷静に検討できるようサポートします。
◆ 診断を確定させる「確定的検査」の種類と違い
NIPTで陽性となった場合、次のステップとして絨毛検査または羊水検査のいずれかを選択し、診断を確定させます。これらの検査は、NIPTと異なり、胎児または胎盤の細胞を直接採取して分析するため、診断の精度はほぼ100%とされていますが、わずかながら流産などのリスクを伴います。
ここでは、両検査の違いを、英国王立産婦人科医会(RCOG)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの情報を参考にまとめます。
1. 絨毛検査(Chorionic Villus Sampling: CVS)
絨毛検査は、胎盤の一部である絨毛という組織を採取して、胎児の染色体を調べる検査です。
【参照】
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アメリカ疾病予防管理センター(CDC):Chorionic Villus Sampling and Amniocentesis: Recommendations for Prenatal Counseling
2. 羊水検査(Amniocentesis)
羊水検査は、胎児を包んでいる羊水を採取し、その中に含まれる胎児の細胞を調べて染色体や遺伝子を分析する検査です。
【参照】
検査選択のポイント
確定的検査の選択は、主に妊娠週数と得たい情報によって決まります。
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早期診断を優先する場合: 妊娠10週〜13週頃であれば、絨毛検査を選択することで、羊水検査よりも早く診断結果を得られます。
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神経管欠損症の評価も行いたい場合: 羊水検査でのみ、羊水中の$alpha$-フェトプロテイン(AFP)測定による神経管欠損症の指標を調べることができます。
- 流産リスクを重視する場合: わずかな差ですが、一般的に羊水検査の方が流産リスクが低いとされています。
◆ 確定診断後の「選択」へ

確定的検査によって診断が「確定」した後、ご夫婦は非常に重い決断を下すことになります。
1. 確定診断が「陰性」だった場合
NIPTの結果は偽陽性であったことになり、不安が解消され、安心して妊娠を継続できます。
2. 確定診断が「陽性」だった場合
胎児が染色体異常を持つことが確定します。この結果を受け、ご夫婦は二つの大きな選択肢の中から今後の道を決定することになります。
選択肢A:妊娠を継続する
胎児の障がいを受け入れ、出産に向けて準備を進める道です。
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情報収集と支援体制の構築: 診断された疾患について正しく学び、子育てに必要な医療的・社会的支援(公的な支援制度、福祉サービスなど)の情報を収集します。
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分娩体制の調整: 出産後に新生児への対応が必要となる可能性を考慮し、NICU(新生児集中治療室)などの設備が整った病院で分娩する体制を整えます。
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専門家との連携: 小児科医、遺伝科医、ケースワーカーなど、出産後の生活をサポートしてくれる専門家チームとの連携を開始します。
選択肢B:妊娠を中断(人工妊娠中絶)する
現在の日本では、母体保護法に基づき、人工妊娠中絶には週数の制限があります。
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中絶可能時期: 原則として、妊娠21週6日までと定められています。
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時間との戦い: NIPTで陽性が出た後、遺伝カウンセリング、確定診断(羊水検査は15週以降)、そして検査結果の判明までには時間を要します。中絶を選択する場合、このタイムリミットを考慮して、余裕を持ったスケジュールで検査を進める必要があります。
選択の前提
どのような選択をするにしても、最も大切なのは、ご夫婦が互いの気持ちを尊重し合い、十分な情報提供と心理的サポートを受けた上で、納得のいく決断をすることです。日本の産婦人科学会などの認証施設では、結果を問わず、遺伝カウンセリング体制が整っています。
NIPTは、親に「知る権利」と、それに続く「選択する機会」を与える検査です。その結果が陽性であったとしても、それは絶望の始まりではなく、今後の人生について深く考え、後悔のないよう計画を立てるためのスタート地点なのです。一人で抱え込まず、必ず専門家のサポートを得て、一歩ずつ進んでください。
妊娠中の親子DNA鑑定に関する不安や疑問、親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、遺伝子検査の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
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